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求める人財に届く「採用コンセプト」と「採用ツール」設計:第1部【セミナーレポート】

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求める人財に届く「採用コンセプト」と「採用ツール」設計:第1部【セミナーレポート】

5月28日、株式会社ディスコ主催のオンラインセミナー、『求める人財に届く「採用コンセプト」と「採用ツール」設計セミナー』が開催されました。本セミナーは2部構成で、第1部では「自社にとって最高の人財を採用するために」というタイトルで、株式会社ソーシャルデザイニング研究所の櫻井氏にご登壇いただき、第2部では「効果的な採用ツールの設計方法」というタイトルで、株式会社ディスコより山内が登壇いたしました。人事コンサルタントの目線から、また採用広報ツールのクリエイティブディレクターの目線から、自社にとっての優秀な人財を獲得するための戦略構築方法について解説していきます。本記事では第1部の内容を紹介します。

櫻井 照士

【講師】
ソーシャルデザイニング研究所/人事コンサルタント
櫻井 照士(サクライ ショウジ)

1973年生まれ、コーチングソリューション人財開発研究所 代表コンサルタント。
株式会社ソーシャルデザイニング研究所に所属。
大学を卒業後、自動車関係の商社へ入社。営業職、採用・研修を担当後に2000年に独立。 現在は人事コンサルタントとして、組織や人の天才性を引き出し、その価値を最大限に引き出すことを目的に企業・官公庁では採用戦略、考課測定、風土改革のコンサルティングや研修講師に従事。
大学・短大・専門学校・高等学校では入試戦略や、キャリア科目のカリキュラムの構築、キャリアポートフォリオの開発、教員や職員向けの勉強会、非常勤講師などキャリア関係全般の講座に従事。その他、各組織で経済産業省社会人基礎力プログラムの開発、厚生労働省YESプログラムの開発を手がける。

効果的な情報戦略を構築するために、意図と情報を整理する

採用戦略を考える上でまず始めに重要なのは、「意図と情報を整理すること」です。
第1部では情報整理をする上での考え方を下記3つにわけて説明していきます。
情報整理① ~戦略構築はPCCPで~
情報整理② 〜自社を言語化するための切り口〜
誰に、何が伝わればいいのか?

情報整理① ~戦略構築はPCCPで~

戦略構築はPCCPで


PPCPとは、「Philosophy(自社のスタンス)」「Concept(提供すること)」「Contents(手段)」「Program(実施内容)」の頭文字をとったものです。
まず戦略を構築する上で一番初めに決めるべきこととして、櫻井氏は「Philosophy(自社のスタンス)」と「Concept(提供すること)」をあげています。Philosophyは直訳すると「哲学」ですが、要するに、接した全ての学生に感じて欲しい自社のあり方」をしっかりと言語化することが大切だということです。例えば会社説明会、学内セミナー、またはインターンシップで自社の「スタンス」を明確にしておくことで、自ずとコンセプトも決まってきます。対象の学生に何を伝えるべきか、コンセプトが決まれば、次に考えるのはそれを伝えるための「Contents(手段)」です。そしてその手段を使って具体的にどういった「Program(実施内容)」で進行していくのかを考えていくというところまでが、戦略構築をする上での全体の流れとなります。

情報整理② 〜自社を言語化するための切り口〜

ではこの「PCCP」に沿って戦略構築をする上で、どの部分に焦点を当てて情報整理をしていけば良いのでしょうか

情報整理② 〜自社を言語化するための切り口〜

存在価値

まず初めに考えていきたいのが「存在価値」、つまり、組織というフィルターを通して、お客様にどのような価値を提供したいのかといった部分です。櫻井氏は、コンサルティングをする上で企業に対して、必ず「御社が世の中からなくなったら、御社のお客様はどれだけ絶望しますか」と問いかけると言います。この質問に対して、「他社があるから大丈夫だと思う」と答える企業もありますが、櫻井氏は「そういうマインドで採用活動をしていたら、伝わるものも伝わらない」と主張します。お客様にどんな「幸せ」や「豊かさ」を提供したいかなど、抽象概念を明確に言語化することが重要なのです。また、この「軸」を設定することは、自社のリクルーターと「学生に伝えるべきこと」の指針を共有する上でも、双方の認識違いを防ぐ上で大切です。これらは、自社のホームページに掲載しているTOPメッセージやミッションステートメント、沿革、または有価証券報告書を読み込むことで、言語化していくべきポイントとなります。

社会に価値を提供するための戦略

次に、前述した「存在価値」を社会に提供する上で、自社はどのような戦略を構築しているのかについて考えていきます。
まず一番初めに注目すべき点は、「市場における商品やサービスの優位性」です。「なぜ、その商品が支持されているのか」を言語化するということが大切になってきます。もし自社のマーケティング内容について詳しく知らない場合は、部署の垣根を超えて情報収集をし、きちんと説明できるようにしておくことが、学生とコミュニケーションをとる上では不可欠です。それに付随し、顧客にその商品やサービスを届ける上での「提供価値」や「勝ちパターン」といったところも、把握しておくべき部分になります。
また、所属する人財の特徴についても言語化していかなければなりません。自社の社員が持つ能力、仕事に向き合う姿勢やマインド、また入社後専門的に学んでいく知識やスキルについてもきちんと伝えていくことで、より自社に合う人財を採用することができます。

社風

自社の社風を伝える上で、「休みの日に遊びに行くほど仲が良い」などオフタイムの情報を伝える企業もあります。しかし櫻井氏は、あくまで「オンタイム」の情報、要するに「仕事をする上で、お客様に価値を提供するためにどのようにチームワークを発揮するのか」という部分を伝えることが大切だと主張します。また、社員同士で接する際のスタンスや協調体制を言語化する他に、社員が新しいことにチャレンジできる環境などがあれば、アピールポイントとして把握しておくと良いでしょう。

企業が自社の魅力を伝える上で、外的要因、いわゆる福利厚生など制度的な面を多く伝えることは、学生を初期の段階でキャッチアップする戦略上必要な過程です。しかし、制度的な情報しか伝わっていない場合、どうしても学生の志望動機は表面的なものになってしまいます。自社が採用すべき人財か判断するため、学生の志望動機をより具体性のあるものにしていくには、先述した部分、いわゆる内的要因をしっかり言語化していくことが重要なのです。


誰に、何が伝わればよいのか?

では情報整理をした上で、「誰に」「何を」伝えればいいのかを考えていきましょう。

「誰に」伝えるか

まず、各シーンでの対象者属性を把握することは、どういった情報を伝えるべきか考えていく上で必須です。例えばインターンシップを開催する場合に、対象学生の属性が定まっていなければコンセプトを考えることができません。時間軸や場面などによって異なるセグメントを、しっかりと定義付けすることが大切です。
また櫻井氏は、どんな学生が対象かを考える上で、「認知戦略」と「認識戦略」の2つが大切だと主張します。

「認知戦略」は学生に自社の存在を知らせることが目的で、例えばB to B事業をしていて学生に名前が知られていないなどといった企業がまず取るべき戦略です。逆に、学生に名前が知られていて既に母集団の形成ができている大企業などには必要のない戦略となります。

「認識戦略」は、学生に対し会社のより深い理解を促すことが目的です。企業名は知っているけれど、実際にどんなことをしている会社なのか理解していない、または表面的な情報のみで判断し、企業に対して偏見を持っている学生に対して有効な戦略です。

「誰に」伝えるかを考える上で、対象学生は「認知」と「認識」、どちらの段階にいるのかについて、きちんと把握することが重要なのです。

「何を」伝えるか

「誰に」伝えるべきかがわかれば、次に「何を」伝えるかについて考えます。
先ほど情報整理②で説明したフレームを利用し、整理した情報の中で、対象者が求める情報は何なのか、伝えるべき事項を明確化しておくことが大切です。

また、全ての学生に対して整合性のある情報を伝える、といった部分も非常に重要です。
例えば、「壁を超えてチャレンジできる企業です」と主張しても、コロナ禍で様々な事業がストップしてしまっていては主張に整合性がとれません。学生に対して説得力のある一貫したスタンスを取るためには、採用に関わる全ての社員に対して研修を行い、自社の在り方を言語化して伝えることが必要です。

第1部のまとめ

  • 採用戦略を考える上でまず始めに重要なのは、意図と情報を整理すること。「PCCP」に沿って戦略構築をし、「存在価値」「社会に価値を提供するための戦略」「社風」に焦点を当てて情報整理をしていくことが必要。
  • 情報整理ができたら、「誰に」「何を」伝えればいいのかを考えていく。
  • 「誰に」を考える際は、時間軸や場面などによって異なる対象者属性をしっかり定義付けすることが大切。またその 際、対象学生には「認知戦略」と「認識戦略」のどちらに当てはまるのかについても認識する。
  • 「何を」伝えるかについて考える際には、整理した情報の中で対象者が求める情報は何なのかを明確化する。また、学生に対して整合性、説得力のある情報を伝えるためには、自社の在り方を細部まで言語化し、採用に関わる全ての社員に共有することが求められる。

執筆者プロフィール

正井  優

正井 優|株式会社ディスコ 企画クリエイティブ部

オレゴン大学ジャーナリズム学部卒業。
2019年のボストンキャリアフォーラムにてディスコに出会い、2020年9月に新卒で 入社。
主に企業の採用広報ツールの制作を担当している。

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